人事制度の構築
人事制度の構築

人事制度構築のステップ

1.経営方針を確認し、部門ミッションを導き出す
  賃金や評価制度を設計する以前の問題として、まず経営者が「どんな会社にしたいのか」という営の意思 を明確に持っていることが重要です。
 経営者の思っていることを具体化することから始めます。そのためには、どんな会社を運営していくかという経営方針から落とし込んだ部門ミッション(部門の使命)を導き出すことが必要です。
 何のためにその部門は存在するのかという部門の役割を皆で考えることから始めます。

2.等級制度の設計
 @職能資格制度
 仕事の困難度・責任度などをベースにした職能資格区分を設け、各区分に該当する職能資格基準を設定し、この基準に基づいて人事処遇を行う制度。年功的な運用が問題となったが、最近では成果を重視した職能資格制度に変化しています。
 A職務・役割等級制度
 実際に担当する職務や、組織に要求される役割をベースにした等級を設け、各等級に求められる定義書を設定し、この定義書に基づいて人事処遇を行う制度です。

3.賃金制度の設計
 @基本給の種類
   基本給にも何を基準とするかにより次の種類があります。従来は年功給により基本給が構成されていましたが、能力、仕事の難易度、役割などによって基本給を設定する企業も多くあります。
 1)年功給◆学歴、勤続、経験、年齢などによて決定される賃金。日本の年功序
   列制度を支えてきた賃金
 2)職能給◆潜在能力を含む職務遂行能力の質の高さによって決定される賃金。
   日本の賃金制度を支えてきた職能資格制度の根幹となる賃金。
 3)職種給◆職種と熟練度に決定される賃金でヨーロッパで多く見られる。
 4)職務給◆職務価値(ないしは難易度)に応じて決定される賃金。アメリカで多く
   見られる。
 5)役割給◆役割の高さや難易度に応じて決定される賃金。
 6)成果給◆成果指標の達成度に応じて決定される賃金

 Aその他の手当 生活関連手当の見直しが急務

   給与には労働の対価という面と生活を支える原資という面があります。労働の対価という面でいえば、固定的に支払われる給与を固定給、労働の結果に対して支払われる給与を変動給と呼びます。
  また、労働の対価で考えると、仕事の種類によって給与を支払うのか、仕事をする上の能力に応じて支払われるのか、生活を支える原資という面では、生活の条件に応じて支給される手当などがあります。
 最近の傾向としてこの生活関連手当を減らすまたは無くしていく傾向にあります。
 会社の経営方針と会わない手当や実質的に意味を持たない手当は何か?本当に残しておく手当は何なのか? 
 会社として真剣に考え、手当見直しの根拠をきちっと社員に説明できなければなりません。


決定要因 給与体系 特徴
生活水準 生活関連手当 ・家族手当、住宅手当、地域手当など
・仕事の内容、等級とは無関係
年齢給・勤続給 ・右上がりカーブ、単純明快
・一定年齢(勤続年数)で頭打ち(上限設定)
資質/適性 職能給 ・右上がりカーブ、能力に応じて個人差
・個人差が出てこないと年功給に陥る
・能力の伸びは一定年齢で頭打ち
能力
能力給(職能給もある) ・能力に応じた配分
成果 成果給 ・毎期の成果に応じて配分
・アップダウンが大きい
職務 職務給 ・仕事が変わらないと給与は現状維持
・前より付加価値の低い仕事に従事すば降給
職種 職種給 ・職種に応じた配分
結果 歩合給 ・結果に応じた配分、単純


4.賞与制度の設計
 賞与の支給は、社員皆で稼いだ利益を社員間で配分する性格のものですが、従来生活給が重視されていたころの基本給+生活給に一定率を掛けるという賃金比例方式から会社の貢献度に応じて配分する方法に変わってきています。
@ポイント制賞与制度
 賞与における配分可能原資を設定し、この原資を個人の業績のに基づいて配分する。原資を配分する際に、貢献度を表すポイントを設定し、計算の基礎とする。
A係数乗数方式賞与
 基本給+付加手当に一律係数・役職係数・職能係数・考課係数・出勤律をかけて賞与額を計算する。

5.退職金制度の設計
 退職金制度を検討するにあたり、そもそも退職金制度は必要か?制度設計にあたり、支給額を約束する制度にするか?在職中の貢献度を反映させる仕組みとするか?というポイントを押さえて設計する必要があります。
また、現在退職金の外部積立として適格退職金制度を契約している企業は、新制度の移行時期(平成24年3月31日)までに、その制度を解約して廃止するか、別の制度に移行する必要があります。
退職金制度の仕組みとして次の選択枝があります。
 @基本給連動方式
  退職時基本給×勤続年数対応係数
 A定額方式
  勤続K年数に応じて支給
 Bポイント方式
  在職中に累積したポイントに単価を乗じて算出
 Cキャッシュバランス
  給与の一定割合を社員ごとに拠出し、会社が運用
 D中退共利用
  等級別に中退共の掛け金を設定し、拠出する
 E前払い制度
  退職金制度を廃止し、給与・賞与に上乗せする
 F確定拠出年金
  会社が掛け金を拠出し、従業員の自己責任で運用する年金
 G適格退職金制度廃止対策
  適格年金廃止に伴う移行先についての提案

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